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異常性愛
第12章 独裁者の嘆き
『すまんねぇ、勘違いしとるようだ。悪かった。』
亭主は私に部下の態度を詫びる。
涼子が気がかりで踵(きびす)を返した私の肩を、亭主は掴んだ。
『なぜ、キミはそう涼子に拘るんだ?』
『愛してるからです。』
私はきっぱりと答えた。
『なるほど。私の前でそう言うか。ほほっ、本気だな。』
『ええ。』
『では、キミの奥方はどうだ?愛しているのか?』
『はい。そう言えます。』
亭主は笑った。
『ならば涼子を連れ帰って三人で暮らすといい。』
『それは、できません。涼子とは別れます。』
『なぜ、できんのだ?愛しているんだろ?ほほっ。』
『当然じゃないですか。そんな法はないでしょう。』
亭主は笑った。
さっきよりも大きな笑声だった。
『くだらん!人の女に手を出す割りに、キミは意外につまらん男だな。』
私は亭主を睨んだ。