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異常性愛
第12章 独裁者の嘆き
『そうだ、涼子に固執し、
仕事に固執し、家族に固執する。
自分が正しいと思ってる。ほほほ、
キミの自信に満ちた話しぶりでわかるよ。
さっき法と言ったね・・・。
この国じゃそうだが、国が違えば
法律よりも戒律が優先されることもある。
駆け落ちした愛娘を
その手で殺す親だっている。
そこでは許されていることだ。
戒律だからな。ほほほ。』
黙って亭主の話を聞いた。
『世の中の常識など砂上の楼閣だ。
キミの思う正義や愛など
この先どうなるかわからん。
そんな不確かなものになぜ固執するんだ。』
『愛は確かなものですよ。
私は実感したんです。』
『今のキミにとってだろ?
じゃなぜ初恋の相手と結婚しなかったんだい?
キミの言う愛だったんだろ?
人の心など時が経てば変形するさ。ほほほ!
この世で一番軟弱だ。ほほほ!』
私の感じたものを否定する亭主。
色狂いのこの男にそれがわかるはずはない。
『拘りは誰にだってありますよ。
あなたは何なんです?
金ですか?地位ですか?』
『命だよ。生だ。リアルだよ。』