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異常性愛
第12章 独裁者の嘆き
『は?・・。』
『私の第一義は私が存在することだ。
ほほほ! 命だ。
森羅万象、すべてのものが
これにすがるんだよ。ほほほ。
命を永らえるために獣は他の命を食うんだ。
兵士は敵の兵士を殺すんだよ。
病人は医者を選ぶんだよ。
私は医師だ。しかも優秀だ。ほほほ。
患者の生は私に委ねられるんだ。
私のさじ加減で生死が決まる。
死んだところで
私が咎められることはない。』
『それは犯罪ですよ。
内通者がいたら、
あなただって、ただでは済まない。』
『そうだな・・。気をつけないとな。
ほほほ。
だが私が生死を決定したことに
変わりはないよな。
患者は自分で決められないさ。
命は自分のものようだが、
その存続は自分で決められないのさ。
世界じゃ十円のワクチンが打てずに、
毎日命が亡くなっていくんだ。
昨日も今日もこれからもずっとね。』
『それは貧しいからでしょ。
金じゃないですか。
金があれば治療できる。』