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異常性愛
第12章 独裁者の嘆き

『お、おお、怖い顔するなって。殴らんでくれよ。
 例えが悪かった。
 すまんすまん。言い方を変えよう。

 現時点で金は強力な武器だ。
 それに異論はない。

 だが大昔、ドルも円も存在しない時代には、
 キミのように腕力や体格が勝る者が、
 全てを手にしたんだな。
 食い物もオンナも。
 
 基本はそれだよ。

 強いオスにメスが生殖本能を刺激されるって言うだろ?
 あれは事実だが全部じゃない。
 他のオスのセックスの権利を奪うんだよ。強い者がね。
 そうやってオスも支配するんだ。
 ほほほ!いいよな強いヤツは。

 だが強くてもバカはダメなんだよな、
 賢い弱いのにひっくり返されちゃうよな。
 だから自然に、デカくて強くて賢い者が、
 優秀とされるようになるんだ。
 
 そいつぁ獲物をたくさん獲ってくるし、
 魚もいっぱい釣ってくる。
 賢く耕し、誰よりも多く収穫するんだな。』

『それが今は金だと言いたいんですね。』

『そうだ。資本主義が席巻してるからね。
 世界は今後ますますそうなっていくさ。

 大昔と変わらないのは、
 バカじゃだめだってことだよ。』



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