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異常性愛
第12章 独裁者の嘆き
『つまらん愛だとか恋に絆(ほだ)されて、
強者の道を歩まないキミが、
私にはバカに見えるね。』
『その道を行ってどうなるんです?』
『生だよ。その生を満足させる。
空白のない満足で埋め尽くし、
それで命の限り、生き尽くすんだ。』
『好きなように生きれば回りを苦しめますよ。
私の父がそうでした。
利己のために自分以外のものが犠牲になる。
それは最後に自分を苦しめませんか?』
『そこがバカの発想なんだよ。
いいじゃないかそれで。
圧倒的な力というのは人の社会には必要なんだよ。
広島の惨劇で日本の愚行は終わったじゃないか。
たくさんの命をもってしてやっと終わったじゃないか。
あの巨大な力が、それ以上の人命を救ったと
言い換えることだってできる。』