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異常性愛
第13章 塊
白々と明けていく空に、眩しい朝日が幾筋もの光を矢のように放つ。
夜明けをこれほど無情に感じたことはない。
涼子との時間が終わる。
覚悟を決めていたことだったが、いざとなると女々しい気分になるものだ。
『涼子、一緒にシャワーしようか。』
涼子は笑顔で頷くと、私の背中に身を添えた。
『ありがとう。・・・素敵な夜だった。』
背中に響く涼子の声で、眼が潤んだ。
----ありがとう
その言葉には、説明のできない多くの想いが詰まっている。
一言で言うのなら、私のそれも『ありがとう』だった。
不覚にも鼻をすすった私に涼子が乗りかかる。
私の顔を覗き込み、驚いた表情で涼子はおどけた。
『ああー 泣いてンじゃないのぉー?
どれどれぇ、りょうこが慰めてあげよっかぁ。』
『あぁもう、泣いてないよ!
シャワーだシャワー。行くよ。』
涼子は浴室に向かう私の周りをぐるぐる回り、子供のような笑顔で はしゃぐ。
湿っぽい別れになれば、辛くなる。
涼子は精一杯の笑顔で 私を、そして涼子自身を勇気づけているのだろう。