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異常性愛
第13章 塊
ドアを開けたのは涼子の亭主だった。
あまりの急な登場に、私達は声を出して驚いた。
『わっ!』 『うわっ!』
『やぁ、すまん、キミちょっと送ってくれ。
いや、駅までだ。
病院に戻らんといかんのだ。』
『あなた!何なのっ!いきなり!
タクシーあるでしょっ!』
『ぜんぶ予約車なんだよ!
頭下げてもダメだったんだ。』
亭主の乱暴な登場に、珍しく涼子は本気で怒っていた。
初めて見る怒りの表情だった。
私達にとっては最後のドライブだ。
涼子はそれを亭主に台無しにされると思ったのだろう。
『なぁキミ、だめか?』
ガキ大将のような昨夜の亭主とはまるで違う。
半身で申し訳なさそうに、車内を覗き込む亭主が気の毒に思えた。
この男とも今日が最後だろう。
私はサイドブレーキを引いた。
『いいですよ、送ります。』