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異常性愛
第14章 宿怨
誰も横断しない歩行者信号は青の時間が無駄に長く、私を留める赤信号と結託し、私と涼子の距離を伸ばしていく。
自分を取り巻くすべてのものが、行く手を阻むように思えた。
もしかすると見間違いかもしれない・・・。
タクシーに見た涼子に絶対の確信があったにもかかわらず、ネットに接続してホテルの番号を調べた。
----(まだホテルで待っているかも・・・。)
画面上に指を滑らせるうち 私にあったわずかな期待は、すれ違いに見た涼子の残像を上回ることはできなかった。
溜息をついてホルダーに携帯電話を戻した。
留守電に一度繋がり、直後に涼子は私を着信拒否している。
話せない、いや話したくないということだ。
繋がったところで会話の行く先は見えている。
現実を整理すると、私の中の焦りがスッと退いた。