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異常性愛
第14章 宿怨

立ち上がって、優子に心境を吐露した。
『俺、涼子には感謝してるんだ。
いつか逢えたらいいなと思ってる。
謝らないといけないことも、たくさんあるんだ。』
ハッと我に返り、湖に視線をそらした。
それを優子に伝えても仕方がない。
風になびく髪を押さえて、優子は微笑む。
『あなたは奥様をヘッジにしちゃダメなのよ。』
そう言って、自分の携帯電話を私に差し出した。
『あなたの番号、ここにないわ。
名前も知らない。』
『先生に聞かなかったのか?』
『名乗らないのって言ったら、直接聞けって。
ほんと意地悪よ。』
ぷっと頬を脹らませ、両手を腰にあてる優子。
この女には、どこか素朴な可愛げがある。
私が名乗らないのだから亭主が明かすわけにもいくまい。
亭主もそこそこの男だ。
優子の携帯電話に自分の番号を打ち込み、名前をどうするか迷い、空欄のまま携帯電話を返した。

