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異常性愛
第16章 萎凋
少年の自宅近くのポストの前で、雅美はアルバイト帰りの少年を待った。
いつもの待ち合わせ場所だった。
少年の家庭の実情を知る雅美は、毎日のように弁当をしたため、ここで少年に手渡す。
それが雅美の母性であり、少年への愛だった。
夕刊の配達を終えた少年が、酒屋の角を曲がり、雅美の方に走ってきた。
ホッとする。
雅美にはこの瞬間が、一日の中で一番大事な時間だった。
今日も逢えたという安心と満足が、雅美の心を伸ばし、喜びで満たす。
少年は、息を切らせて雅美に駆け寄った。
『はぁはぁ・・・。、待ったか?』
『ちょっとだけ。でも、おかえり。これ。』
携えた弁当を少年に手渡す雅美に、ちょっとした達成感が湧く。
『あぁ、ありがとう。腹減ってんだ。
今すぐ喰うよ、待って。』
昼飯を食べ損なった少年は、その場で包みを開けようとした。
『あ、ちょっと、ここで?え?ここ?』
『あれ?だめか?』
『だよね、普通。ここじゃ食べないよ。』
『じゃ、タコ行くか。雅美は?行こうよ。』
『え、あ・・・うん・・。』
タコとは少年らが屯するあの公園だ。