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異常性愛
第16章 萎凋
雅美は少年の身体に掴まり、頬を擦り付ける。
時々の上り坂で腹に力を入れる少年に、自分を運んでくれる男の力強さを感じる。
カラカラと進む二人を乗せた自転車は、夕暮れの下町に溶け込んでいった。
公園には誰もいなかった。
二人乗りの自転車は、長い陰を伸ばし始めていた。
藤棚の下で、弁当を広げる少年の顔がほころび、雅美の前で素直に喜びを見せる。
『なぁ食っていいか?』
『どうぞ、食べて。』
『いただきます!』
ガツガツと弁当を頬張る少年を、雅美は嬉しそうに眺めた。
野性味ある少年の食べっぷりに雅美は見惚れていた。
食べながら少年は雅美を心配した。
『いいのか・・・いつも・・・こんなこと・・。』
『なにが?』
『だってさ・・雅美んちの米、俺が食ってんだぜ。
・・・ウチの人怒ってねぇのか?』
『どうだろ、わかんない。しかられちゃうかも。』
『・・・だよなぁ。』
『でもいいよ。出来なくなるまで、してあげる。』
『そう?助かる。・・・でもいいよな、飯あってさ。』
『普通だよ。ははは、それって普通じゃない?』
『俺んちは変わってるからさ。親父バカだし。』
肉親をなじる言葉遣いに、雅美は表情を曇らせる。