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異常性愛
第16章 萎凋
『ははは、気持ちは嬉しいけどさ。
ははは、だから母ちゃんだっての。
働くなんて雅美にできっこないよ。』
笑いながら少年はリフティングを続けた。
『あ、ごめん。』
お仕着せがましく気遣ってしまう自分の言動が、少年の母親のような態度になってしまうことに雅美は自己嫌悪した。
雅美は少年の恋人でいたい。
――――あたしはカノジョだよ。
肩を落とし、地面を見つめる雅美の足元にボールが転がった。
『蹴ってみろよ。』
少年は後ずさりして少し距離を空けた。
雅美が力いっぱい蹴ったボールは、あられもない方に飛んでいく。
『あっ、ごめん!』
そのボールを少年は全速力で追い、ジャンプして胸に当て、バウンドを処理した。
豹のような動きだった。
雅美は躍動する少年に、胸を締められるような辛さを感じた。
『やっぱだめだな。ははは・・・。』