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異常性愛
第16章 萎凋
少年は砂場にボールを蹴りこみ、雅美の方へ歩み寄った。
夕暮れが過ぎ、公園の外灯が点った。
『そろそろ帰るか。』
『うん、今日は塾なんだ、そろそろ行かなきゃ。』
二人は自転車に乗り、公園を後にした。
来た時と同じように雅美は後ろから少年に巻きつく。
黄昏の弱い闇が二人を隠し、雅美の照れくさい気持ちを和らげた。
少年にまわした雅美の腕に自然と力が入る。
――――この人が好き。
自転車の後ろで雅美は幸福感にどっぷりと浸かった。
少年は自転車を止めた。
雅美の家の少し手前に神社がある。
お別れはいつもそこだった。
自転車を挟んで二人は向かい合った。
『ありがとう。今日は誰も来なかったな。タコ。』
『うん、よかった。』
『ごちそうさん。おべんと。』
雅美はまだ少年と離れたくなかった。
腕には少年の温もりが残っている。
『ねぇ、まだ時間あるよ。』