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異常性愛
第17章 つづら織りの海
    
もし繋がったとしても、涼子とやり直そうというつもりはない。
大きな貨物船が、手順を踏んで港を離れようとするのを、小さな積み忘れのために港へ再接岸させるほど、その積荷に重要性は無い。
小船を出して、貨物船に積み忘れた荷を届けることもできたが、その思いも忙(せわ)しい日常の中で少しずつ消えていった。

一度、終わったのだ。
別れを無かったことにするには、あの日の出来事は濃厚すぎて、それに関わった誰の帳面からも消すことはできないだろう。

私を慕うイカした女支店長から何度か連絡をもらっていたが、間を空けて折り返した私の電話に出るのは、用件を聞く優子の流暢な留守電案内だった。
明るく元気なその声で満足し、日常の忙しさに感け、それ以上優子を追わなかった。

次に優子と逢うのは、母と再会してからになるだろう。
それが優子への手土産であり、優子を抱く口実になると、心の中で線を引いていた。









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