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異常性愛
第17章 つづら織りの海
優子の提案を受けてから、母を捜すための方法をあたった。
実家に寄り付かない私は、父を尋ねることが嫌だった。
五年ほど前に、結婚の報告を兼ねて晶子と実家に帰った。
正確には、晶子に実家へ連れ帰られたことがあった。
私は父に伝える必要はないと言い張ったが、晶子は会うと言って聞かなかった。
健在で居場所もわかっている、晶子にとって義理の父となる人と会わずに、嫁になど行けないと私を困らせた。
勘当されて以来、実家の敷居を跨いだのは その一度きりだ。
本来は晴れがましいその時でも、私は父を嫌忌していた。
父だけでなく実家そのものが鬱陶しく、そこに流れる空気を吸うことが不快だった。