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異常性愛
第17章 つづら織りの海
石川は私の待つ窓口の職員を捕まえ、何か話している。
私も招かれ、その職員に話を聞かれた。
免許証を渡し、数枚の用紙に名前を記入すると、その職員は窓口の奥の端末に向かい、カチャカチャと作業し始めた。
石川は私の肩をポンと叩いた。
『じゃ、俺行くわ。
上で市会の先生が待ってんだよ。』
『そうなんだ、偉くなったんだな。』
石川は私に近づき、耳元で囁いた。
『偉いのは向こうだけだよ、
口利きさ。保険料の減免だよ。』
『ああ、そういうのね。大変だな。
足止めて悪かったな。』
『かぁちゃん、見つかるといいな。
頑張ってくれ。次はこれだな。』
石川はグラスを持つ手つきで、手首をキュッと捻った。
『ああ、約束した。
今日は、すまん。また連絡するよ。』
中年太りし始めた大きな身体を揺すり、石川は足早に去っていった。