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異常性愛
第17章 つづら織りの海
テーブルの地模様を見つめ、次の言葉を探したが何も出てこなかった。
三十年近い年月を飛び越えて、別れた肉親に会うということが想像できず、自分の振る舞いをどうすべきか迷っていた。
晶子の言うように、大人になって嫁を連れ、晴れやかな姿を見せるのも悪いことではない。
義理の母をひと目見ておきたいという晶子の気持ちも、実直な晶子の性格を鑑みれば当然の思いだ。
だが、私の母への思いは、七歳当時の私のままだ。
そこから先の母の姿や、その思いはすべて空想の産物だ。
そんな気持ちで母に再会すれば、老いた母を責めてしまわないだろうか。
無意識の中に、母を恨む自分を見つけてしまった以上、私は母を責めずにいられる自信がなかった。
黙り込んだ私に、晶子が口を開いた。