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異常性愛
第19章 変わらないもの
   
集落に入ると細い路地が迷路のように入り組んでいた。
私のおぼろげな記憶を辿り、懐かしみのある路地を晶子と彷徨った。
田舎の集落では人っ子一人見かけず、墨で書かれた古めかしい表札を一軒ずつ見て回った。

集落を彷徨い歩くうち、朽ちた土塀のいたずら書きが目に留まり、それが私の記憶をつついた。
その先の土塀の切れ間に大きな門が見える。


懐かしい光景だった。
母と手を繋いで歩いた、実家の前の路地だった。

立派な門から中を覗くと、この集落の中でも小さくはない田舎建ての古民家が見え、手前には見覚えのある農機具小屋が目に入った。

ここだ、間違いない。
温かいものが胸にこみ上げた。

『アキ・・・ここだ。』

『来れたね。』

晶子は笑った。
私たちはここまでの健闘を称えあい、門の敷石を跨いだ。




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