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異常性愛
第19章 変わらないもの
  
『あぁ?アンタ誰ね。』

『君枝さんの倅(せがれ)です。』

『はぁ?倅?はて?うん・・・・。』

年老いた祖母は私のことなど覚えてはいない。
まして私は三十年も歳を取った。
祖母からすれば私を孫と思えるわけがない。

『農協さんとちがうか。
 倅な、アンタは。』

『はい、そうです。』

『ほう、君枝のな?』

『ええ。』

祖母は人懐こく笑った。

『ほなら、アンタはウチの孫やね。』

『そうです。はい。』

『はて、そない大きい孫があったかいな・・。』

『え、まぁ、そうですね。』

『あぁそうねぇ。
 お腹すかん?食べてけばええ。』

『いや、お気遣いなく・・。』

祖母は、覚えの無い私が母の倅だと言っただけで、田舎の人間らしく身内贔屓(ひいき)に持て成そうとしてくれた。




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