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異常性愛
第19章 変わらないもの
そんな母を祖母が叱った。
『君枝!しゃんとせんと!大ちゃん かわいそね!
メソメソせんよ。アンタ、かあさんやろ。』
祖母の大きな声に母は一瞬すくんだ後、体の力を抜いた。
途端にふらつき、卒倒しそうになる母を私は抱きしめた。
『ママ、もういい。大丈夫。』
母は私に一度ギュっとしがみつき、気を取り直して自立し、絶え絶えに口を開いた。
『・・・よう来たね・・・大ちゃん。
・・・よく来てくれたね。』
目を腫らし、ようやく笑顔を見せた母。
チラッと晶子に視線を移し、小さく会釈した。
『あ、俺の嫁さん、晶子っていうんだ。』
『晶子です。はじめまして・・。』
晶子は深々と頭を下げた。
『晶子さん。大輔をお願いしますね・・・。』
母も頭を垂れた。
小さな母は頭を下げると、ことさらに小さく見えた。