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異常性愛
第19章 変わらないもの
『大ちゃん、アンタ泳げるようなったかぁ?』
割り込むように祖母が私に聞いた。
私のことを覚えていたようだ。
腰は曲がっているが、それ以外は矍鑠(かくしゃく)としていた。
『え、もう泳げるよ。そりゃぁもう凄いよ。』
『そうか、アンタいっつも泣いて、
君枝引っ張って海鳴さん行きよったなぁ。
そぉね、ええオトコんなったねぇ。』
『もう、言わんでよ。嫁さんいるし。』
『ほんに きれいな嫁さんもろぉて・・・。
さっ、あきちゃん、さっきの小芋サン、しよか?』
晶子は気持ちのいい返事をすると、祖母に付添って母屋に向かった。
私の前をふらふらと通り過ぎる、祖母のしわくちゃの頬が涙で濡れていた。
祖母も悲嘆に暮れた母を、今まで見守り続けてきたのだ。
『大輔、お茶入れるわ。上がって待ちなさい。』
そう言うと母はヘルメットを拾い上げ、私を引いて母屋の戸をくぐった。