この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
異常性愛
第19章 変わらないもの
『俺はまだ小さかったから、
ほんとのこと言えなかったのかもしれないけど、
ママから家族を奪うことで
パパはママに復讐したんだろ。たぶん。
なぁママなんで離婚したんだ?』
私は二十八年間の疑問を母に問うた。
母は黙ったままだった。
『・・・・・。』
『言えないことなんだよね?』
直接の原因は、やはり母の不貞だったようだ。
私は母の不貞を責める気は毛頭ない。
宗教狂いで甲斐性なしの父に愛想を尽かすのは、一般的な感覚があれば当然のことだ。
むしろ母はそこまでよく耐えたと思っている。
『いや、いいんだ。
俺もこの歳だし、わかるよ・・・。
俺でもあの家から逃げ出したかった。
実際に高二で出たんだ。追い出された。』
母の目の色が変わった。
私の面倒を最後まで見なかった父に対しての憎悪だった。
父が私をいずれそう扱うことを、母は危惧していたのだろう。