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異常性愛
第21章 ギブ・アンド・ギブ 前編
晶子が過去に失った愛を私が受け入れることで、晶子の被虐性に陰りがみえた。
以前までの私なら晶子にその失恋を披瀝させ、逞しい想像力で嫉妬と興奮に昇華させたが、晶子への愛を確認した今、私の性情動は晶子への暴力性を失い、穏やかなものとなった。
私の性癖である日中の自慰行為も、それに至る好みの対象があったにもかかわらず、今までのように反応しなかった。
肉親との再会が、長年、私の心に影を落とし続けた疑問や恨みが払拭し、精神的な安定をもたらしたようだった。
私の性行為における加虐性は、相手がそれを受け入れることが前提になっている。
被虐的な要求がなければ、精神的に安定した私が晶子に乱暴なセックスをすることはないだろう。
もし晶子に被虐欲求が顕われたとしても、母親になろうと準備をする妻に、暴力をもってそれに応えることはない。
ただ少し、
もの足りなさを感じる。