この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
異常性愛
第21章 ギブ・アンド・ギブ 前編
電話が鳴った。
『もしもし?』
《あたし。食事すんだ?》
優子からだった。
運転しながらなのか、風を切る音で雑音がひどい。
『いや、まだだ。』
《お腹空いてる?
そっちで何か先に食べようか?》
『そりゃ構わないけど、
イベントの打ち上げで
知り合いが飲み歩いてるんだ。
できたらこの近くじゃない方がいいな。』
《わかったわ。ルームで済ましましょ。
じゃ、ロビー・・いや部屋で。
そのほうがいいわね。》
『ああ、そうしてくれ。』
《もう着くわ。ディーも向かって。》
『はい。向かいます。』
電話を切った。
ピンと張った優子の声は、別荘で私に甘えたときとは違い、幾分、仕事時の厳しさが残っていて、上司に指示されたような気分になった。
おそらく、移動中も携帯電話が鳴り止まないほど多忙なのだろう。
その合間に私との時間を作り、私を求める優子に少し侘しいものを感じた。
----さみしいんだろな・・・。
タバコを消し、約束したホテルに向かった。