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異常性愛
第21章 ギブ・アンド・ギブ 前編
ルームサービスが到着したようだった。
優子はキュッと口角を上げて微笑むと、くるんと身体を起こし、身なりを整えた。
モンローウォークで入口に向かう優子の後姿に、大きな溜息が出た。
配膳された食事は豪華なもので、なにやら難しそうに盛り付けされた魚介に、サラダ、分厚いステーキ、スープとパン、ワインがテーブルに並んだ。
『おいしそうね!』
『贅沢だなぁ。
そこらの居酒屋にすればよかったな。』
『ディーとの再会の時よ。
これぐらい気にしなくていいわ。』
『ああ、そう。』
安月給の私には、滅多に口に出来ない贅沢な料理に、少し気持ちが退いた。
清水の舞台から飛び降りたとしても、大怪我をするぐらいで、こういう場所で食事をしようと思ったことがない。
優子のように金持ちと遊びまわる野心を持った女達は、自然とこういう持て成しや施しに慣れていくのだろう。