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異常性愛
第23章 原石と宝石
真美の大人びた質問に、私はドアに向いたまま姿勢を正した。
小娘だとバカにできない。
勘のいい娘だとは思っていたが、見かけの若さを超えた肝を備えているようだ。
さすが、ああいう場に顔を出せるだけの度量はある。
余分があるなら私に少し分けて欲しい。
『気にしてくれてるんだ?』
扉に視線を移して頷く真美。
口元に少し含んだ笑みが、大人の女を感じさせた。
『印象がずいぶん違うね。』
『これ、ですか?』
真美は髪を弄(いじ)り、毛先を見つめた。
私の左肩付近にある真美の髪は、涼子の髪色に染められていた。
『主人の要望なんです。美容室に涼子さんの写真を持って行きました。』
エレベーターの扉に顔を向け、真美は笑みを消した。
新妻に前妻の写真を持たせるとは、感覚のずれた亭主ならやりそうなことだ。