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異常性愛
第23章 原石と宝石
『わかった、車まで送るよ。』
上着を掴んで真美とショールームを出た。
エレベーターの中でも、真美は真っ直ぐに前を見たまま、私に視線を合わせない。
あきらかに様子がおかしい。
エレベーターを出て、ツカツカと駐車場に歩を進める真美は、リモコンキーで車のロックを開けると私に顔を向けた。
『大輔さん、今日はごめんなさい。』
『どうしたの?調子悪い?』
『大丈夫です。心配ないです。』
『そう?よくなさそうだよ。』
『優しいんですね。』
『普通だよ。』
『涼子さん・・
いい人だったんですか?』
やはり真美は涼子のことで何かひっかかっているようだ。
『ああ、いい人だったよ。』
『そうなんですか。
私は涼子さんみたいになれますか?』
『よく解らない質問だけど。』
『あの人は・・・主人は、
涼子さんを忘れていません。』
『そうか・・・。
真美ちゃん、辛い思いしてるんだね。』
真美は黙ったまま涙を溜めた。
こんな所で泣かれては困る。
職場の地下だ。