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異常性愛
第23章 原石と宝石
会社から少し離れた、川沿いの通りに車を止めた。
広い通りの向こうに、洋館建ての図書館が見える。
銅版葺きの屋根に雪を乗せ、緑青(ろくしょう)と雪のコントラストがレンガ積みの建物に美しく映えていた。
『あれ、きれいな建物だろ。』
『ええ。ほんとに。』
建物に目をやることで真美は顔を上げた。
できるだけ無理にこちらを向かせない方がいい。
私は図書館に目を向けたまま会話を繋ぎ、真美が本題を切り出すのを待った。
『あれ、図書館なんだよ。知ってた?』
『知らなかった。
本がたくさんあるですよね。』
『そりゃ、図書館だからね。』
『そうですよね、ふふっ。』
真美は少し笑った。
『真美ちゃんはよく本読むの?』
『看護書以外はあまり読まないです。』
『本には「知」が詰まってるからね。
読んだ方がいいね。』
『大輔さんは?読書好きなんですか?』
『読まないよ。だからバカなんだよ。』
真美はクスッと笑い、肩を揺らした。