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異常性愛
第23章 原石と宝石
生憎の空模様に、小さなオープンカーは折りたたみの幌で屋根を覆っている。
『ディーには窮屈ね、この車。』
『雨風しのげりゃ何でもいい。
ほんとありがたい。
よく来てくれたな。こっちに用事あんのか?』
『夕方から異業種交流会なの。
そこのメンバーなのよ。』
『へぇ、頑張るなぁ。ってかガンバれ。な。』
優子の野心の火は消えていない。
私は心からそれを応援するが、詳しく聞く気にならない。
優子が自分から遠くに離れていく気がして、怖いのだ。
『ディーの会社からも参加者がいたわよ。』
『ああ、そう。』
興味を示さない私に優子はクスッと笑い、それ以上その話をしなかった。
いつも私の気持ちを察していて、嫌味なことを口にしない。
ひと時でも二人にとって良い時間を過ごしたい、ということだろう。