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異常性愛
第24章 月
見た目の悪くないチアキだが、真美や涼子の苦悩を知れば考えを改めるかもしれない。
普通に結婚し、真面目な亭主と手を取りあって生きていくことが、どれほど幸せなことなのか、それに気付くにはチアキはまだまだ若い。
装飾や付加価値に、本当の価値が備わっていないと知るには時間が掛かる。
『チアキちゃん、
今回はありがとうね。恩に着るよ。』
丁寧に頭を下げた。
『そんな、大輔さんやめてくださいよ。
こちらこそいい経験になりました。』
『次は俺、手伝うから。』
『なんのなんのですよぉ。それより、
あれ施工までやっちゃうって聞いたんですけど、
そうなるとマジで凄くなりません。』
『そうだよ。建築屋は嫌がるだろうけど、
たまたま向こうの担当が俺の知り合いなんだよ。
いくらか包みゃどうにでもなる。
部長も掛け合ってくれたみたいだし、
施主は俺にやらせたいみたいだしね。』
本来はハウスメーカーが内装仕上げまでを一環施工するが、真美の新居は躯体が上がれば、最近立ち上げたばかりの我社の施工部門が、以降の内装工事を全て受ける。
これまでにないケースだったが、商材納入だけよりも遥かに大きな利益が見込める。
私の会社も生き残りをかけ、業界を出し抜こうと躍起になっていた。