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異常性愛
第24章  月 
   
プレゼンの準備が整ったその夜、
帰宅途中で亭主に電話した。

冬の夜空には北極星が瞬き、月が明るい。
冷え込んだ外気に密度を感じた。
人肌に温まった携帯電話が耳たぶに心地よい。
  
《お、キミか。いつ来る。》

繋がるなり亭主は私の挨拶を遮り、いきなり日取りを確かめてきた。

『先生、お世話になります。
 資料出来ました。
 今週伺いたいんですが、
 ご都合いかがですか?』

《おお、今週ね。いつでもいい。
 キミの休み前がいいだろう、ほほほ。》

『じゃ金曜ですね。』

《そうか、じゃそれでいい。》

『資料が膨大なんで、
 時間掛かりますよ。大丈夫ですか?』

亭主は以前にカーテンひとつ決めるのに飽きてしまったことがある。

《そんなものは、適当でいいよ。
 ほほほ。任せる。
 とにかく飲もう。な。ほほほ。》

『そう言わずに。結構いいプランなんですよ。』


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