この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
異常性愛
第25章 おまじない
真美に電話した。
『もしもし真美ちゃん、大輔です。』
《あ、大輔さん、こんにちは。》
『近くまで来てるんだけど、大丈夫かな?』
《お待ちしてましたよ。いつでも。大丈夫です。》
『そう。悪いんだけど荷物が多くてね。
ガレージ開けといて貰えないかな。』
《解りました。開けておきますね。》
『ごめんね。もう着くよ、見えてきた。切るね。』
《はぁい。》
心成しか真美の声に張りがあった。
少し持ち直せたのかもしれない。
私も少し気が楽になった。
亭主の家の大きな屋根が、冬の空にそびえている。
ここに涼子はもう居ない。
そう思うと急に心が冷えた。
今にも涼子が出迎えてくれそうな気配があるのに、ずっと前から涼子はここにいない。