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第25章 おまじない

　　　
『買い換えないの？』

『新しい家にあわせて揃えようと思ってるんです。
　主人もその時にここのは全て捨てると・・。』

『そうか、それまでの辛抱だね。』

『・・・私、間違ってたのかな。』

『ん？』

『ここにいるのが。』

『そう思うの？』

『無理してるって自分でも思っちゃうんです。』

真美は弱々しい笑みを浮かべた。

『私、長く付き合ってた人がいたんです。
　看護学校に入る前から。
　何でも言うこと聞いてくれて、優しい人でした。』

『うまくいかなかったの？』

『彼は結婚するつもりでいてくれたみたいですけど、
　私はその先が想像できなくて・・・。
　結婚の話が出るようになって、
　彼を避けるようになったんです。』