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異常性愛
第25章 おまじない
『あの、お化粧してもいいですか?』
『いらない。ぃや、あ、
しなくてもいいんじゃないかな。』
『こんなですよ。』
『きれいだよ。大丈夫。うん。』
隆起した頬のてっぺんをピカピカに輝かせ、真美は少し笑った。
『行こう。』
自然に真美の手をとった。
水道水で冷やされた真美の手は、しっとりと湿り気を保ち、ゆで卵のような弾力で弱く反発した。
真実の顔を見ることができなかった。
振り向けば、今度は私が真美の唇を奪ってしまう。
真美の手を引き、玄関へと向かう途中、私の手を真美は少し強く握った。
その手をそっと握り返した。
小さな秘密を真美と持ち合ったような気がして、心に波が立った。