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異常性愛
第25章 おまじない
タクシーの運転手と休憩した同じ場所で、一服つけながら真美とホットコーヒーをすすった。
厚めのコートを羽織った真美は、袖口から少しだけ小さな手を出し、両手で包んだカップの湯気を吹く。
口を尖らせ、ふぅと吹くいては唇を小さく結ぶ。
真ん中に寄せた大きな目で、波立ったカップに視線を落とし、恐る恐る口をつける。
ツルっとコーヒーを含み『っツ!』と片目を小さくする真美を見ていると、このまま真美を連れて、どこか遠くに出かけたくなってしまう。
私の見た風景を見せて、真美にどう見えるのか聞いてみたくなる。
『おいしいですね。ここのコーヒー。』
時折サッと通る風に目を細めながら、真美は廉価なコーヒーを称えた。