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キャンドルが消える時
第2章 第一章
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欲求不満なのだろうか。
あんな夢を見たからか、支店長のお怒りも全く耳に入ってこない。ただ、いつもの習慣なのか頭だけはきっちりと下げていて自嘲してしまう。終わった頃には、みんな営業に行ってしまって、私の机だけがノートパソコンを開いている。
ぼんやりと各所を回って色々な人と話をしながらライバル会社の動向や、たわいない世間話をしたけれど内容は全く覚えていない。夜になってもアフリカ系の黒い顔が思い浮かんでは、指先から足先までじん、と痺れた。仕事をする気にならないけれど、終わらなければ帰れないし。出来るだけ甘い痺れを思い出さないように、無心で仕事を消化していった。
大した仕事をしたわけでもないけれど、自分の車に乗ると、どっと疲れがのしかかった。
「しんど……」
アクセルを踏む気力もない。ハンドルに寄りかかりながら、帰ろう帰ろうと自分に言い聞かせるが、舌の上にカフェオレの味が広がった。
まだ、営業しているのだろうか。
途中からうろ覚えの道を走った。ゴーヤのカーテンをした店があった。まだopenの札がぶら下がっている。ここまで来るとなんとなく思い出してきて、意気揚々と車を進ませる。オレンジ色の光がドアのガラスから溢れていて安心した。
「あぁ、こんばんは」
薄暗い店内でマスターの笑い皺が余計に濃くなったようだった。何も気にせず、昨日座った場所に腰を下ろす。
「カフェオレが美味しくて、また来ました」
マスターが微笑みながらメニューを渡してくれる。
「嬉しいかぎりですが、ここは夜になると飲み屋に変わる店ですよ」
メニューに目を落とすと、確かに昨日来た時と書いている飲み物が違う。カフェオレが飲みたかったのだけれど、致し方ないか。
「じゃあビールで」
「かしこまりました」
あんな夢を見たからか、支店長のお怒りも全く耳に入ってこない。ただ、いつもの習慣なのか頭だけはきっちりと下げていて自嘲してしまう。終わった頃には、みんな営業に行ってしまって、私の机だけがノートパソコンを開いている。
ぼんやりと各所を回って色々な人と話をしながらライバル会社の動向や、たわいない世間話をしたけれど内容は全く覚えていない。夜になってもアフリカ系の黒い顔が思い浮かんでは、指先から足先までじん、と痺れた。仕事をする気にならないけれど、終わらなければ帰れないし。出来るだけ甘い痺れを思い出さないように、無心で仕事を消化していった。
大した仕事をしたわけでもないけれど、自分の車に乗ると、どっと疲れがのしかかった。
「しんど……」
アクセルを踏む気力もない。ハンドルに寄りかかりながら、帰ろう帰ろうと自分に言い聞かせるが、舌の上にカフェオレの味が広がった。
まだ、営業しているのだろうか。
途中からうろ覚えの道を走った。ゴーヤのカーテンをした店があった。まだopenの札がぶら下がっている。ここまで来るとなんとなく思い出してきて、意気揚々と車を進ませる。オレンジ色の光がドアのガラスから溢れていて安心した。
「あぁ、こんばんは」
薄暗い店内でマスターの笑い皺が余計に濃くなったようだった。何も気にせず、昨日座った場所に腰を下ろす。
「カフェオレが美味しくて、また来ました」
マスターが微笑みながらメニューを渡してくれる。
「嬉しいかぎりですが、ここは夜になると飲み屋に変わる店ですよ」
メニューに目を落とすと、確かに昨日来た時と書いている飲み物が違う。カフェオレが飲みたかったのだけれど、致し方ないか。
「じゃあビールで」
「かしこまりました」
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