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第5章 月への道を

「タクヤは…タクヤはりえを愛していた。でも、りを前にすると、自分でもよく分からない行動を起こしてしまっていたようだ。母親を知らずに厳しく育てられたのが、原因なのかも知れないと…。」


タクヤの妻は泣きじゃくりながら、ユウイチの言葉を聞いていた。

りえは何も言えずにうつむき涙を堪えていた。


タクヤの妻は、よろけながら立ち上がり
ユウイチとりえに深く御礼をした。

そして、無言のまま、応接室から出た。


ユウイチが送ると言ったが
そのまま、真っ直ぐを見ながら、幽霊のようにあるきながら事務所を出ていった。