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第3章 結婚

「ピンポン〜ピンポン〜」

部屋のチャイムの音でりえは気付いた。

ぐしゃぐしゃな自分にも気付かずに、

「どちら様ですか？」

と、尋ねると

「りえさん、私よ」
新井の声がした。

りえは我に返り、その場でドレスを整え、髪を手で整えながら、ドアを開けた。

ドアを開け、りえの顔を見るなりに新井は驚いた。

先程までの美しいりえではなく、ボロボロに疲れ、ぐしゃぐしゃな化粧に、乱れた髪に驚いた。


ベッドの上は乱れていて、りえの頬は少し赤く腫れているのを見逃さなかった。

「どうしたの？大丈夫？」
新井から咄嗟に出た言葉だったが、
事を察して、
「辛かったね…」
と、りえを抱き締め頭を撫でた。

りえは、新井さんの腕の中で泣きじゃくっていた。


「あ、新井さん！」

バスルームからタクヤが出て来た。

「りえ、そんなに泣かなくても。感動したもんなぁ」

そう言い、新井からりえを離した。

タクヤの目はりえを冷たく見つめていた。


「りえちゃんは綺麗だったしね。そろそろ美容師さんが来るから、タクヤさんは隣の部屋に行って下さいね」

タクヤを部屋から追い出し、
ウエディングドレスを脱がしすと、
ビリビリのストッキングに、腫れた腿を見た。

ストッキングを脱ぎ、新井が持ってきたローブを羽織った。

りえは何も言わずに鏡の前に座り、新井が優しく髪の乱れを直してくれた。

涙が次から次へと溢れてきた。

新井に優しくされ、美容師に綺麗に飾ってもらい、りえは、新井を抱き締めて、
「お母さん、ありがとう。大丈夫。」
そう言って笑顔で披露宴に向かった。

披露宴が終わり、家に帰ると義父と新井さんが出迎えてくれた。

義父は優しく抱き締めてくれ
「今日から娘だ」
と、強く抱き締めてくれた。

りえは嬉しくて泣いてしまい、義父も涙が目に溢れ、新井さんも、涙を流して喜んでくれた。