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第3章 結婚

「おはようございます。りえさん、夕べは大丈夫でしたか？」
新井がりえの部屋のチャイムを鳴らす

ユウイチは靴を持ち、裏口から急いで母屋に戻った。

玄関を開けると、新井が笑顔で立っていた。

後ろめたい気持ちで、りえも笑顔で挨拶をした。


ユウイチと一晩過ごし、急いでシャワーを浴び、朝食を作りに母屋に向かい、

「お義父さん、おはようございます。」
「おはよう。りえ」

二人が目を合わせた時の視線は今までと違っていた。

「昨夜は大丈夫でしたか？」
新井は二人に尋ねた。

「はい、大丈夫でした。」
同時に答えて、二人で思わず笑ってしまった。

何かあったんだと新井は思ったが、あえて気にもせずに朝食の支度をしていた。


朝食を終え、事務所に仕事をしに行くと、あの女性が待っていた。
りえに鋭い視線を送りつけ、
「ユウイチさん、今日の約束よ」
そう言い、ユウイチの腕に自分の腕を絡めた。

「お茶を入れてきます」
りえは、お茶の支度をするために部屋を出て
（約束って？）
気になっていた。

お茶を事務所のテーブルに運ぼうと部屋に入ると
あの女はユウイチに抱きついてキスをしていた。

「あ…」
りえは嫉妬の情がこみ上げてきたが、一晩だけの約束だったことを思い返し、寂しくティーセットを置き、事務所の部屋を出た。

腕を組みながら、ユウイチとあの女は出掛けて行った。
帰りは…
未定だそうだ。

りえは自分の仕事を事務所で一人こなしながら、あの女の存在が疎ましく、羨ましかった。

（お義父さんとデートかぁ。いいなぁ。。。）
夕方になり、仕事もひと段落し、誰もいないこの空間が寂しく、部屋に戻った。