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マギカ☆フレグランス
第1章 魔女機構
翌日、散々メイラにいじめられた私の寝起きは酷い倦怠感に包まれていた。
脱力感というべきか、この体の重たさは尋常じゃない。
寝ぼけ眼の目をこすりながら、起き上がり寝室の大きなカーテンを開ける。
「うわ、まぶしー!」
差し込んできた太陽……アリスタジアの光を浴びて、んーっと背伸びをする。
そこでふと思ったことがあった。
「元々、ここにいたルナちゃんの心は……どこにいっちゃんたんだろう」
自分の胸に手を当て、考える。
きっと私は、前の世界からこの世界に転移してきた。何かの理由で、何かの目的で、きっと。
それは分からないし、帰る方法もわからないけれど、これが現実な以上、受け入れるしかない。
思ったより私の精神は図太いのかもしれない。
話を戻してルナちゃんの心だ。
心というか魂というか。ルナちゃんはどこにいってしまったんだろう。
––そして
「元の世界の私は、どうなったんだろう」
考えたところでどうにもならない事実だけど、一度考え出すと止まらないのも事実だった。
「ルナ、目ぇ覚めた?」
メイラの声が聞こえたので寝室の扉に振り返る。
メイラはぼさぼさの髪の毛を櫛でときながら、私の元に歩いてくる。
「大丈夫! 今日はちゃんと起きたよ!」
「……はぁ」
「え、なに」
私の返事に露骨なため息を漏らすメイラ。
「朝になったら元のルナに戻ってるかなぁ、とか思ったんだけどそんなことないよね」
そんなことなかった。
「ご、ごめんね」
本当に、申し訳ないと思う。
私が悪いわけではないけど、メイラにも、ルナちゃんにも、罪悪感が出てくる。
「別にいいって、とりあえずほら、準備しなさいよ」
メイラはそう言って寝室から出て行った。
メイラはやっぱり、ルナちゃんに帰ってきてほしいと思っているはず。私も、帰れるなら元の世界に帰りたい……。
帰る方法、探していくしかないよね。
そのためにも、今日もこの世界で1日を超えていかなければならない。
私も洗面所に向かって寝室を出ることにした。