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マギカ☆フレグランス
第1章 魔女機構
「えっと…学園一年【リリィ】ルナ・アステル入室いたします……でいいんだよね」
「それでいいってば、何回練習したら気がすむのよ」
現在8時25分。
魔導会議室451の前で、私はもう何度目かの入室の挨拶を復唱していた。
いや、そうでしょ!? メイラにここに来るまでに言っていたことだけど、この招集に集まるメンバーは全員私より年上で先輩なんでしょ!?
【リリィ】に選ばれている学園一年生がルナ(私)しかいない時点で、そうなんだろうけど。
緊張するに決まってる。
「ほんとに……ルナとは性格違いすぎるわ……」
そう言われてもどうしようもないじゃない。
「よ、よし! い、いくわ」
「はいはい。ちゃっちゃとして」
決意を固めて、いざ!
会議室の扉に手をかけ––「まって、ルナ」––かけてメイラに振り返る。
「な、なに? やっと落ち着いていけると思ったのに」
「道を開けて。上級候補生よ」
メイラが言う。その声色はいつもとは違って緊張が込められている。
メイラの顔には微かに冷や汗が流れているようにも見えた。
メイラの視線を追うと、エントランスとの通用室の扉からこちらに歩いて来る1人の候補生の姿と、その後ろに付き従うように歩いてくる小柄な女の子の姿が見えた。
候補生の左胸のワッペンの色、そして右肩にかかげられている百合の花弁の刺繍。
学園三年生の【リリィ】だ。
「わ……なんか、すごいね。オーラというか、大物って感じが伝わって来るよ……」
「ばか! なに言ってんのよ! はやくどくわよ!」
そう言ってメイラは私の手首を掴んで、扉の前から離れ、廊下の脇に寄る。
なんで、こんなにメイラは緊張しているんだろう。
いや、もちろん私も緊張していないといえば嘘になるけれど、ここまでメイラが……まるで怯えるように上級候補生を見つめるのかわからない。
ただの先輩後輩というだけじゃないの?