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マギカ☆フレグランス
第1章 魔女機構

「お、おはようございます」
「あ、え、おはよう、ございます」

 私たちの眼前まで歩いてきた上級候補生にメイラが挨拶をした。
 それにつられるようにして私も挨拶をする。やっちゃった、挨拶はしないっていうルナちゃんの立ち振る舞いを意識しすぎて先輩相手なのに挨拶しないところだった……。

 私たちの挨拶に上級候補生はこちらに視線を向けた。その目はまるで「汚物でも見るかのような」、蔑む目線に見えた。

 その視線に、私の体が硬くなる。物理的なことではなくて、これはなんていうんだろう。

 ––そう、恐怖だ。

「あら、ごきげんよう。ルナ・アステルとその下僕」

 上級候補生は、立ち止まり私たちを見下ろした。
 名前は分からないけれど、鋭い目つきと青い瞳、腰まで伸びた黄金の頭髪……そしてなにより180近くの長身。
 150もないルナちゃんの体の私と160程度のメイラは、見上げないと目線を合わせることはできない。

 見上げる私に対して、メイラは目を伏せ、頭を下に向けているようだった。私の手首を掴む手が微かに震えている。

「今日は、あなたも呼ばれているのね。まぁ、それもそうよね、あなたは私と同じ【リリィ】なのだしね」
「は、はい。今朝招集がありましたので……」
「……!? あ、あなた、私に敬語なんて使えたのね」
「へ?」

 ぎょっと仰け反る上級候補生の言葉を私は反芻する。
 「私に敬語なんて使えたのね」?

 ルナちゃん……あなたって先輩に敬語が使えない人だったの……?

 私の想像するルナちゃんの人格に「礼儀知らず」という言葉がインプットされた。
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