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マギカ☆フレグランス
第1章 魔女機構
「もちろん、管理第三区【リリィ】同士でしたら、バディを組んでいただいてもかまいません」
「いや、組んでいただいてもかまいません、じゃないだろ」
「……と、いいますと?」
「我々の行動の基盤となるマギカ校則によって、【魔女候補生がケルベス討伐に従事する場合においては、二人以上で行う】とあるはずだ。我々【リリィ】が、校則を守らずして、どうするのだ」
「それについては、≪フォアード≫より特例として、バディの結成は任意としている次第です」
「特例? 理由は?」
「今回の任務は、先ほどサリム様が申された通り、情報収集がメインとなります。バディとして行動してしまった場合、人数的な問題で効率が半減いたします。討伐はあくまで遭遇時の対処で結構です」
「つまり≪フォアード≫は、ケルベスと遭遇した時は、死んででも討伐しろ、と仰っているわけだな」
「……死ぬ覚悟は、皆魔女機構へ来た時からしていることと存じますが?」
「死ぬ覚悟と死にに行くことは別だろう。我々は魔女ではない。魔女候補生だ。ケルベスの規模によっては、一瞬で殺されることもあり得るはずだ。それを≪フォアード≫は黙認し、むしろ推奨し指令しているのだろう?」
「口を慎みなさいサリム・プラト。これ以上の発言は≪フォアード≫への、魔女機構への侮辱行為として認識します」
「…………私からは以上だ」
サリムさんが見えている片目を伏せて、言った。
なんか……とても空気が重たい。フィールさんの最後の言葉は、ふわっとしていなかったし……こう、貫くような、まっすぐ射殺すような声色だった。
私に向けられたわけでもないのに、冷や汗が止まらない。
いつの間にか手汗がびっしょりだ。
「他にありますか?」
フィールさんの声は元に戻っていた。
でもこの空気の中、質問をする人がいるはずもなく、会議は終了となった。
【リリィ】の中もやっぱり一枚岩じゃないわけだし、今回みたいな反対意見を持っている人は他にもたくさんいるだろうな。