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マギカ☆フレグランス
第1章 魔女機構
会議室から出ていく上級候補生を見ながら、私は会議室の端に寄った。
こういう場では、なんとなく目上の人を先に出てもらうようにしないといけない、みたいなマナーがあった気がする。
「メイラ、大丈夫?」
「大丈夫よ。心配かけちゃったわね。問題ないから安心して」
「ならいいんだけどね」
「ってか、今から大変よあんた。指令が下りちゃった以上は結果出さないといけないんだから」
「あ、あはは、だ、大丈夫だよ」
フィリムの目撃情報収集とケルベスの討伐。
まだ、この世界の知識はもちろん、魔法についてもまったくわからない私が、こんなことをすることになるなんて……。
あぁ……早く元の世界に帰りたい。あの質素な布団で眠りにつきたい……。学校がめんどくさいぃって駄々をこねてた日常に戻りたい。
現実逃避する私の肩をメイラが掴んで引っ張ってくる。
「んえ?」
「フィールさんが来たわよ」
「へ!?」
メイラに言われて視線をあげると、フィールさんとおそらく使い魔の二人がこちらに向かって歩いてきてる。
フィールさんは柔らかい笑顔を浮かべているけど、私はさっきの会議での鋭い声色と目つきが頭によぎってしまう。ぎゅっと拳に力が入る。
「お疲れ様でしたルナ様。まだこのような会議は慣れませんか?」
「え、あ、だ、大丈夫です!」
「そう。ならよかった。学園一年で【リリィ】に選ばれているあなたの実力は期待しています」
「こ、光栄です」
よ、よかった。なにか怒られるとかそういうことではないみたい。
内心安堵する私にフィールさんは笑顔を浮かべたまま、片手をあげ、会議室の出口を指さす。
「ここは私が施錠しますので、ご自身の家に戻っていただいて結構ですよ」
「あ、ありがとうございます」
「今回の任務、緊張せず、できることをできるだけしてください」
「は、はい」
一礼して、出口へ向かう。
メイラも一礼だけして私についてくる。よかった。ルナちゃんは優秀だったから期待されているんだよね。私も頑張らないと。