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マギカ☆フレグランス
第2章 指令【フィリムの目撃情報収集】
「し、しんどい……」
「調子乗って使いすぎるからよ」
訓練を始めて3時間。
時間も13時を回り、いい感じにお腹が空いてくる時間帯のはずなのに、私はどんよりとした嘔吐感と戦っていた。
魔力枯渇による体調不良。魔法という奇跡の副作用。魔法を使いすぎると今みたいな状態になってしまうらしい。
「ルナちゃんなら、大丈夫かなって」
「確かにルナは天才だけど、そんな馬鹿みたいに魔法連発したら流石にそうなるわよ」
「ま、まぁ? 最初に限界を知っておくっていうのは大事だよね。ほら言うじゃん。外でお酒飲む前に家でベロベロに酔って限界知った方がいいって!」
「お酒と一緒にするな」
へへ、と笑う私に、メイラはもう見慣れてしまった呆れ顔をした。
「とりあえず、今日は休んで、明日から本格的に動きましょ」
「そうだね……。流石にしんどい」
訓練室からフラフラになりながら出る。あー、お腹空いてるのに、食べたら絶対吐いちゃうよねえ。
「寝室で横になってなさいよ」
「うん、そうする」
なんとか寝室まで戻った私は、制服のままにも関わらず、ベッドに仰向けに倒れこむ。
あぁ、もふもふベッド……。
「ほら、着替えて。制服シワになるでしょ」
お母さんみたいなことを言うメイラは、ベッドに倒れこむ私の肩を揺らす。
素直に言うことを聞きたいのは山々だったけど、ベッドに倒れこんでしまった私にまた起き上がる気力はなかった。
力なく手を挙げて、ヒラヒラと振る。
「アイロンかければ大丈夫だってえ」
「誰がかけると思ってんの?」
なるほど。
普段はメイラがアイロンかけてるんだ。
「大丈夫大丈夫。私がやるからあ」
ヒラヒラヒラヒラと手を動かし続ける。
流石に鬱陶しく思ったのか、メイラがヒラヒラしてる私の手首を掴んだ。
その力が思ったよりも強い……! っていうか……!!
「い、いたいいたい!」
痛い! 握りすぎだよ!?
「やめてよ。ルナにまでそんなこと言われたら、私、やだよ」
メイラが、小さく呟いた。
え? 怒った?
メイラの態度の急変に、体のだるさも吹っ飛んで、ベッドから上体を起こす。
「ご、ごめん。悪気はなかったんだよ? ちゃんと着替えるから!」
テンパってしまった思考を落ち着けようとしながら、制服のブレザーのボタンに手をかける。