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マギカ☆フレグランス
第2章 指令【フィリムの目撃情報収集】
ブレザーのボタンを外し終わり、ブレザーを脱ぐ。
とりあえずブレザーをクローゼットへ直しに行ってもよかったけど、目の前で項垂れてしまったメイラの事が気になってしまって、この場から動くに動けない。
ブレザーを簡単に畳み、ベッドの脇に置いて、シャツのボタンに手をかける。
そこで、私の手がまたメイラに掴まれる。びくっとしてしまう。
ボタンから目線をメイラに向ける。そこには、顔をあげたメイラが映ったけれど、その顔は怒りでも呆れでもなかった。
「泣いて、るの?」
「泣いてない」
確かに涙は頬に伝っていないけれど、目尻には大きな涙が溜まっているし、声も震えている。
いつも吊り上がっている眉毛も、今ではハの字に垂れてしまっている。
どう考えても泣きそう。というか、泣いている。
「ご、ごめんね」
「謝んないでよ……あんたはルナなんだから……謝んないで」
「う、うん」
で、でもどうしたらいいの、この状況。
話の流れ的に私がアイロンするって言ったら泣いたわけだし、いつもメイラのやっていることをやろうとしたことが、メイラの中でなにかに引っかかったってことでしょ。
謝ったらだめって……。
「ルナ……う、うぅ」
ぽつりと漏れたような小さな声。それが引き金のようにメイラの目から溜まっていた涙があふれ出るように次々と流れだす。
この状況にテンパってしまう私に、メイラは倒れこんできて――。
「うわぁあ!? 大丈夫!?」
「ルナ……ルナ……!!」
私を押し倒して、私の胸に顔を押し付けて何度も何度もルナちゃんの名前を呼ぶ。
どうしていいかわからない私は、押し倒されたまま、メイラちゃんの背中を撫で続けるしかなかった。