この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
マギカ☆フレグランス
第1章 魔女機構
魔女機構。
この世界の魔女候補たちが集まる学園要塞都市。世界に蔓延る化物から絶対的な安全が保障されている数少ない都市。……らしい。
私たち魔女候補生は、外の化物を倒すために育成されている。……らしい。
全部今メイラから聞いたことだから、完全に受け売りだけど。
「今から行く学園で、私は魔法の勉強をするんだね」
「そーいうこと。それにルナはただの候補生じゃないから」
「へ? どういうこと?」
制服に着替えて部屋から出た私たちは、通学路をメイラと一緒に歩いている。
目に入る景色は、全体的に教科書で見たことのある中世ヨーローパのような雰囲気の建物が立ち並んでいる。
そしてその景色の中でも、特に目を引くのが、私たちが向かってる学園だ。
通天閣なんか簡単に越える、150mにも及びそうな大きな大きな時計塔。
100m辺りから下に段々と太くなり、最終的には東京ドーム何個か分になりそうほどになる、大きな建物だ。
そこが通称【マギカ】と呼ばれる学園。……らしい。これももちろん、受け売りだ。
「ルナは【リリィ】。特待候補生なのよ」
「え! すごいじゃん!」
「ルナにルナのこと話すのって本当違和感だわ……」
ため息をつくメイラに、私は続ける。
「え、じゃあルナちゃんは、魔法たくさん使えたの?」
「ルナちゃん……ってあんた……まぁいいや。そうだよ、ルナは天才なの。だから私が仕えてもいいって思ったのよ」
今は残念だけどね、そう言ってメイラは少し歩く速度を速めた。
置いて行かれないように、速度を私は合わせたけれど、メイラの言葉に胸が痛んだ。
「もうつくわよ。あんたはルナなんだから。シャキッとしてよ」
「う、うん!」
ルナちゃんの分も頑張ると、精一杯やると、そうメイラに言ったんだから。私が、自分から言ったんだから。
目の前に迫ったマギカを見据えた。
なんだか、今ならしっかりやれるような、そんな気がした。
「いくよ」
「うん」
そうして私は、マギカの門をくぐった。