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マギカ☆フレグランス
第1章 魔女機構




 でかいでかい門をくぐると、そこにはバスケットコートが2面ある体育館を4つ並べたぐらいの、大きなエントランスが広がっていた。
 床には赤いカーペットが敷かれていて、室内にもかかわらず、真ん中には直径10m弱の豪華な噴水がある。

 エントランスから左右に通路が分かれていて、門の真向かいには壁沿いに階段が2つ並び、吹き抜けになっている二階に繋がっている。

 一言で言うと、すごい、に限る。

「な、なにこれ、すっごいね」
「立ち止まってないで、ほらいくよ」

 門をくぐって呆然とする私を置いてメイラは先に進んでいく。

「ま、まって!」
「そんなに慌てないで。あんたはルナなんだから」

 そうだ。私はルナちゃんなんだから、堂々としていないと。

「ルナ様! おはようございます!」

 エントランスをメイラについていく形で歩いていると、同じくエントランスを歩いていた女生徒に声をかけられた。

「え、あ、えっと」
「おはようございます」

 テンパってしまった私に代わって、メイラが代わりに挨拶する。
 私も遅れて返す。

「おはよう、ございます」
「あ……ありがとうございます!!」

 すると女生徒が目を爛々と輝かせ大きな声でお礼を言ってきた。
 え? なに? 挨拶しただけなんだけど……。

「挨拶を返していただき光栄です! ありがとうございます!」
「え? え?」
「それでは、ルナは教室に向かうのでこれで失礼します」
「はい!失礼しました!」

 メイラのフォローによって、挨拶をしてきた女生徒は駆け足で私達から離れていく。
 一体なんだったんだろう……。

「はぁ……そうよね、言ってなかったわね」
「へ?」
「ルナが【リリィ】だってことは教えたわよね?」
「うん、覚えてるよ」

 疲れた顔で手を額にあてるメイラ。

「学園一年生で【リリィ】に選ばれて、学園序列も高くて、学年序列は1位。そんな子がいたらまぁ、取り巻きが凄いわけよ」

 え、なにその高スペック。

「だからルナは【リリィ】以下の候補生たちとはほとんど口を利かないのよ。挨拶はもちろんね。そうでもしないと周りが鬱陶しいから」
「な、なるほど」
「でも挨拶返しちゃったわよね……あーぁ…忙しくなるよほんと……」

 まだ朝は始まったばかりなのに疲れ切っているメイラの後ろ姿に、とてつもない罪悪感を抱いた。
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