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マギカ☆フレグランス
第1章 魔女機構
1-Bの教室。
廊下から教室へ入るために、メイラが両開きの扉を開け、中に入る。
続くように、私も中に入り、その内装を呆然と見つめた。
高い天井、教室全体を照らす大きな大きなシャンデリア。
床に敷き詰められた赤のカーペット。数百人が座れるほどの椅子と机が規則正しく並べられ、奥に行くほど階段のように高くなっていく。
後ろから前の講義を聞きやすくするための配慮は、この世界でもやっぱり適用されてるらしかった。
「行くわよ」
呆然とする私に、背中を向けたままメイラは呟き、教室内を進んでいく。
慌てて、その背中を私は追う。
そして感じる無数の視線。
すでに教室内で席に座っている生徒、立って雑談をしている生徒、教室内からのあらゆる視線をひたすら感じる。
この《ルナ・アステル》の存在がこのクラスにとってどれほどのものか、私は嫌でも体感できた。
メイラと私は階段を上っていき、最後尾の机、その端に腰掛ける。
「いい? 基本的にここがルナの特等席だったわ」
「へ? あ、そ、そうなんだ」
「そうなんだ、じゃないわよ。これからあんたはちゃんと自分でこの席に座るようにしないといけないのよ?」
「そ、それはそうだね。うん、ごめん」
「はぁ……しっかりしてよ」
メイラのため息にも慣れてきた。そんな私がとても情けない。
「基本的に使い魔が魔女の前を歩くなんてあり得ないことなんだからね? 今日は仕方なしだったけど、普通あり得ないことだから、それだけは理解しててよ?」
「は、はい」
この世界についてなにもわからない私にとっては、なにもかもがプレッシャーでしかない。
お先真っ暗だ。なにも見えない。何をするにも躓く気しかしない。
こうして、私のマギカでの初授業が始まったのだった。