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妄想短編
第2章 泣いてもいいですか?

10月もそろそろ終わりに近づいて
風が冷たく日が落ちるのも早くなってきた
会社帰りだろうか?スーツ姿の男が一人
トボトボと川辺を歩いている。
回りには人っ子一人居ない。
「なんなんだよ…なんでだよ…」
男は立ち止まると足下の小石を拾った
「くそっ!俺がなにしたってんだああああ!」
突然叫ぶと手の小石を川へ思い切り投げる
ポチャン…と寂しげな音を出し、小石は川底へ落ちる
「はあ…もう死んでやろうか…もう…しんどいや」
小石が沈んで行った水面を見つめながら
最近の出来事を思い出す
結婚を前提に付き合っていた女性に
実は男がいた…お互いに忙しくてあまり会えなくて
寂しい思いをさせてしまった。
そう思って、許そうと思った。
「俺も悪かった…お前が寂しかったなんて気づかなくて…これからはもっと時間作るから!」
そして、彼女の手を握った。
だが!だが!だが!
彼女はその手を振り払った!
「ふ…ふははははははー」
彼女の聞いたことの無い笑い声に動揺する俺
そんな俺に彼女は…………
「ほーんと!あんたって馬鹿だよね♪
もしかして本気で付き合ってると思ってたの?
あーこわっ♪馬鹿通り越してるよ☆」
彼女は腹を抱え笑っている
その前で開いた口が塞がらない俺。
「あのさあ、はっきり言って!あんたが遊びだから♪」
「へ?」
「だーかーらー浮気相手はーあーんーたー♪
わかった?だからもう連絡してこないでね☆
さ♪よ♪う♪な♪ら♪」
身体が動かない…口が閉まらない…彼女から目が離せない
そんな俺を置いて去っていく彼女…
その後、一時間以上固まったままだった俺…

